ウイルスの連鎖

ウイルスと地球生命(山内一也)の中に興味深い一節があるので孫引き。

 

1951年に米国ワイオミング州でブタが口蹄疫に酷似した症状を発生し大量死した。

原因はサンフランシスコ発の列車の食堂車で供されていた豚肉料理の残飯の中に、生の豚肉が含まれており、これを餌としてブタに食べさせたことによるものであった。

その頃、カリフォルニア沿岸でアシカの流産が大量に発生した。原因追求の過程で、新たなウイルスが発見され、それをブタに接種すると同様の症状が現れたことから、ブタのえさの中に含まれていたアシカの肉が原因と推定された。

アシカのウイルスはどこから来たのか調査したところ、サンフランシスコ湾に生息するメジナから同様のウイルスが見つかった。メジナはこのウイルスで死ぬことはない。

つまり、メジナーアシカーブターブタという経路で、ウイルスが伝染し、その間に変異して致死性をもったことになるというのである。

 

HIVはチンパンジー→人

SARSはこうもり→ハクビシン→人

エボラウイルスはこうもり→人

狂犬病ウイルスは犬→人

のように動物から人に感染し、その間に致死性を増すことがあるようである。

植物にもウイルスが存在し、サーコウイルスのように植物→動物に感染するものがあるという。