性の進化論(クリストファー・ライアン)から

全体は450ページ強あるが、その要旨は以下のようなものである。

・人類はその大部分を一夫一婦制ではなく、乱婚をしていた
-即時収穫型狩猟生活では部族がグループで狩をする。その結果、獲物を平等に分配するので、グループに上下関係が生じない。したがって、オスはメスを独占する必要はなくなる。
-アマゾン先住民は男の精子の蓄積で胎児は成長すると信じられている。そのときいろいろな精子(背の高い男、狩の能力が高い男・・・・)の精子を注入することで、より理想的な胎児が育つと考えられている。出産後は赤ん坊は母乳で育つが、このときもいろいろな女性の母乳を飲ませることが発育によいと考えている。すなわち「子どもは出産前は男の白いミルクで育ち、出産後は女の白いミルクで育つ」というわけである。

・乱婚をしていた形跡は人の体に残されている
-ペニスの先の亀頭が鏃のような形をしていて、性交時にオスがピストン運動をするのは前任者の精液を掻き出すためである。射精後、オスは性欲が一気に消滅し、ペニスも萎んでしまうのは、ピストン運動によって自身の精液を掻き出してしまわないためである
-メスのオルガスムが長く続くのは、次のオスを迎え入れるためである
複数のオスの精子はメスの体内で精子競争をして、生き残った優秀な精子の遺伝子が後世に伝わる

 

【クーリッジ効果】-性的パートナーが変化することで元気が増すこと

1920年代。クーリッジ大統領夫妻はある養鶏場を視察した。
ファーストレディは農夫に尋ねた。
「雄鶏の数が少ないのに、どうしてたくさんの有精卵を得ることが出来るのですか?」
農夫は誇らしげに答えた。
「自分のところの雄鶏は一日に何十回も喜んでおつとめを果たすんでさ」
ファーストレディはそれを聞いて、
「その話は大統領のお耳に入れておいたほうがいいと思うわ」
傍でその話を聞いていた大統領が農夫に尋ねた。
「雄鶏はそれぞれ決まった雌鳥を相手につとめを果たすのかね?」
農夫は答えた。
「どんでもない。いつも相手の雌鳥はとっかえ引き換えです」
大統領
「その話は大統領夫人に指摘しておいたほうがいいぞ」